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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

猜疑心

2018.10.18 Thu

夫が亡くなってから半年以上が過ぎた。何だかしらないけれど、私宛の郵便物や電話の数がやたらと増えた。
まず亡くなって2ヶ月を過ぎたころ、不動産会社から。
今までは『内田康夫様』とタックシールを貼っていた不動産会社から、サインペンの手書きで、私宛の封書が届いた。何と! 現在住んで居る自宅を限定で買いたいという人がいるという。評価額より高くお支払いしますとのこと。
そして夫宛だった不動産会社から、名前が次々に私宛のタックシールに変更されて届き始めた。
哀しみも癒えない人に、いくら商売とはいえハイエナみたいだと思った。それに遺産相続の手続きに入ったばかりで、住まいも何もまだ共同のままだ。
いくらなんでも早過ぎる。第一売ってしまったら、私はどこに住む?
そして電話。
殆どが「何とかかんとかの手続きをしたら、料金が安くなります」の類だ。
そして傑作は「○○才までの人の人生設計」だと!
「私は○○才を越えておりますけど」と言うと、「エッ! でもお声が若い」って。
それはうれしいのだけど、声で年齢を判断するな!
「でも声は若くても○○才を越えてますし、もう私の人生は終わっていて、あとは死を待つだけです」と言うと、多分相手は絶句したことだろう。
そう言えば昔、ご主人を亡くして半年しか経っていない友人に「ご主人はいらっしゃいますか?」と営業の電話があって、友人は「夫は出かけております」と答えた。「いつお戻りですか?」に「多分、お盆には帰ってくると思います」と答えたと、大笑いしたことがあったっけ。
私には『お安くなります』の電話が多く、なかには手続きは不要ですというのもあった。
私って、そんなに貧しく見られているのだろうか。お安くなるといっても月々300円くらいのことで、何百万円ものお金をだまし取られるのでは割に合わない。
真面目な案内もあるのだろうけど「電話でなく、まず案内の書類を送って下さい。それから検討します」と言うと、「この案内は電話での案内だけです」というのもあって、これではすべてお断りするのが正解かもしれない。
今日はメール送信だった。ピロピロと鳴ったから開いてみると『アマゾンカスタマーセンター』というところから、何とかというところの会費が未納で、下記のところまで電話をしないと法的手段をとる……とあった。
私はアマゾンの何とかやらに入会してないので、勿論電話はしない。そしてネットでアマゾンカスタマーセンターとやらを調べたら、アマゾン何とかというところからメールがあった場合は消費者センターに相談して下さいとあった。やっぱりね!
ホント、そんなこんなで本来はピュア(?)な私の心は猜疑心で真っ黒になってしまいそう。
私もいつか振り込めサギに引っかかってしまうのだろうか。敵の手口は巧妙らしいから。

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