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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

猜疑心の続き

2018.10.21 Sun

先日、夫が亡くなって間もなく私あてに「今住んでいる家を売りませんか?」という案内が来たことを書いた。ハイエナみたいだと思ったことも。でも、よく考えたら不動産会社よりも『国』のほうがハイエナかもしれない。
世間では『資産があっても三代でなくなる』と聞いていた。ああ、そういうことかと思った。
相続税を払うために住んでいる家を売らなければ納税できないこともあるだろうから、それを見越して不動産会社から案内がきたのかも……。だったらハイエナではなくて親切心だったのかもしれない。
でも相続税納税のために不動産を売ったら、その売った代金に所得税というものが待っている。それで資産があっても三代でなくなるってわけか。
それで資産家は会社組織にして、土地家屋を会社の資産にしてしまうということを、いまごろやっと理解できた。
あれやこれやを探り考えているうちに、私って、やっぱりこころが汚れてしまったなと哀しくなった。これでは『純粋詩』が書けなくなったはずだ。
立原道造にしても石川啄木にしても、美しい言葉を紡ぐ人は、住んでいる家を売るとか売らないとか、相続税がどうしたこうしたなど日本の税制を考えて傷つくことはなかっただろう。
反対に『もりそば』だとか『かけそば』で騒がれている人が『美しい言葉を』紡いでいるようにはみえないもの。
私、汚れちゃったなァ!

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