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エッセイストでもある、内田康夫財団代表理事・早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

残念!……2

2019.1.7 Mon

またまた残念だった話。
夫と私は船旅が好きだった。地球を6周もしたし、日本だって何回も回った。
夫が倒れたときも、4泊だったか5泊だったかの旅を申し込んでいた。横浜を出て駿河湾から美保の松原越しに富士山を見て、和歌山に行くものだった。
和歌山で自由行動をして、『孤道』の完結のストーリーの参考にしようという計画だった(多分)。
その話を聞いて、飛鳥に乗ったことのない夫の担当編集者たちが手を挙げた。
1人が手を挙げると「自分も参加したい!」「私も行きたい!」と、総勢20人ほどにもなった。
それなら和歌山でレンタカーを借りて、和歌山ツアーをしようという大きな話にまで膨らんだ。
しかし……。
夫の体調は思ったように回復せず、「ぼくは行けないけど、みんなは参加して」。
と言ったって、夫のいない船旅に参加するはずがない。全員がキャンセルして、飛鳥には申し訳ないことだった。
息を引き取る間際まで夫はワールドクルーズに行きたがっていて、陰で私を泣かせていた。
そして夫はまた飛鳥に乗ることを信じながら逝ってしまった。
そして……。
私は年末ジャンボ宝くじを買った。当たったら、和歌山ツアーをキャンセルしたみなさんを飛鳥にご招待しようと思ったのだ。
3万円分の宝くじ券を遺影の前に置き「7億円とは言わない、1億5千万円でいいから当てて」と何度も夫に頼んだ。31日には「1億5千万でなくていい、1千万円でいいから当てて」とお願いした。あの時キャンセルした皆さんをご招待するといくらかかるのか計算したら、1千万円もかからないことがわかったから。
残念! あの世では夫はまだ新米だったのだ。
3万円は6千円に減ってしまったけど、まァいいや! 今年もまたお願いしよう。
今年はあの世で、少しは力がついているかもしれないじゃない。
キャンセルしたみなさん、待っててください。

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