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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

恥ずかしいね

2019.2.15 Fri

寒いせいでもあるが、このところの私はすっかり出不精(デブ症ではない)になってしまった。おかげで冷蔵庫の中はスカスカ。
食べないと生きていけないので、買い物に出かけなくてはならない。寒くて面倒くさいなと思ったが、でもだらしない格好でもコートを着ればいいやと、コートを羽織って出かけて思い出した。
短大時代、やはり冬だった。あの頃の休みの日は、着替えもせずに1日中パジャマでゴロゴロと過ごしていたっけ。そして……。
お腹が空いて近くの店に買い物に出かけた。パジャマのズボンの裾をめくり上げ、裾がずり落ちてこないように安全ピンで止め、パジャマの上からオーバーを着て出かけただなんて、なんと恥ずかしいこと。思い出しても若い娘が何てことをと、でもそれが若さなんだなと、ある意味なつかしくもある。
このことを友だちに言ったら、「あなたは近所だったんでしょ。私はそのまま電車に乗って買い物に出かけたわよ」って。
今だったらそんな恥ずかしいこと、とてもじゃないけどできないし、また今ごろの若い娘はそんなオヤジみたいなことはしないだろう。
あの頃は若かったから、転ぶってことはない。今だったら転ぶ可能性は限りなく高い。
オババが転んで、コートの下がパジャマだったらどうなる。ネグリジェじゃないからいいか……って、そんな問題じゃないか。
でも恥ずかしいことをした若さが、今は欲しい。

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