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内田康夫 夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

廃屋?

2019.8.20 Tue

軽井沢に移ってきて36年。森の中の我が家が、すっかり緑に埋もれてしまった。移ってきたときに植えた1メートル50センチだったモミの木が5メートル近くに、ケヤキはゆうに10メートルは超えているかもしれない。我が家が埋もれてしまうはずだ。
夏の暑い日だって、昼なお暗い森だから、スウーッと汗が引くのも当然だ。これぞ軽井沢だ。
これだけ濃い緑だから、秋も終わりになると半端じゃない枯れ葉が、道路に庭に屋根の上にだって降り積もる。
降り積もった枯れ葉を錦のつづれ織りなんて喜んでいるのも最初のことで、これが毎年となると、雪かきと同じくらい憂鬱な年中行事なのだ。もっとも雪だったら究極、放っておけば春には溶けてくれるけれど、枯れ葉はそうはいかない。
掻いても掻いても降ってくる枯れ葉……とは言え、私が落ち葉を掻くのは玄関前くらいで、道路は管理事務所がやってくれるし、庭と屋根は業者に頼んでいた。
それが夫の介護が始まって以来、軽井沢を留守にすることが増え、枯れ葉掃除のことはすっかり意識の外に追いやられていた。
それがこのあいだ、ふと屋根を見上げたら屋根に草のような木のようなものが生えているではないか。降り積もった枯れ葉を片付けることなく放ってあったので、屋根の上で腐葉土化していたに違いない。
そこに鳥がフンをして、フンの中で消化されてなかったタネが芽をだして……なんて、我が家はまるで時代劇に出てくる廃屋ではないか。ペンペン草でないのがまだしも救いだなんて言ってられない。
8月の軽井沢は音の出る作業は一切禁止だ。
仕方ない、この夏は廃屋もどきの家で我慢するしかないな。
しかし自然界は凄い。自然は自然のままが自然だから、このまま自然にしておこう……って、この自然はこのまま自然にしておくと、いずれは自然に雨漏りにつながる。
自然を大切にしよう……とはいえ、この自然は困ったものだ。
この「困ったものだ!」を、寅さん映画の御前さまふうに言うと、この自然もちょっと楽しいかも。

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