ブログ

HOME > 早坂真紀つれづれ

内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

ハザードマップ

2019.12.23 Mon

今年は本当に災害の多い年だった。これが地球温暖化のせいだとすると、毎年こんな災害が来るということだろうか。
特に東日本の災害のときは、残された家畜やペットのことが話題になっていた。飼い主を探すペット。
家畜やペットも哀しいだろうけど、飼い主の気持ちはいかばかりか計り知れない。さぞかし心が痛んだことだろう。
これは自然災害ではないけれど、昔ヒッチコックの『鳥』という映画があった。襲い来る大群のカモメに何人もの住人が殺され、とうとう住人が町から逃げ出すというサスペンスものだった。それは怖かった。
その中で、少女が家に忘れてきた飼っていたラブバード(コザクラインコのことで、以前、我が家で飼っていたピッちゃんとイッチャンがこの鳥だったが、この話はいずれ)を、襲い来るカモメのなかを取りに帰るのだ。
そのとき私は「この子、バカじゃない? 自分がカモメにつつかれて死ぬかもしれないのに、ペットなんてどうでもいいじゃない」と思っていた。
それがキャリーが我が家に来てから、その少女の気持ちが理解できた。
もし自分が何かの災害で逃げなくてはならないとき、私は絶対キャリーを連れて逃げる。避難場所でペットはダメだと言われたら、私はキャリーと命を共にするからと、夫に宣言したりしていた。
生まれてそのトシになるまで、私はペットと名のつく生き物を飼ったことがなかったのだ。「ぼくのおかげで、人間らしい心が生れたのだ」と、夫に笑われたっけ。
もうキャリーはいないけれど、今年の災害で、またその考えを新たにした。しかし……、軽井沢に住んで36年経つけれど、私は軽井沢のハザードマップを見たことがない。存在するのかどうかも知らない。あるのかなァ!
夫はもういないし、何かがあったとき私はどこに避難したらいいのだろうと、心配事ではある。

« 

2019.12.28 Sat 歴史

 »

2019.12.18 Wed サラサラ髪