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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

地の日 天の海

2021.1.31 Sun

夫が亡くなってそろそろ3年が経つ。この間に夫の本を何冊読み返しただろう。
その都度こんな四字熟語ってあったっけ?と『四字熟語辞典』で調べ、豊富な語彙の意味に辞書をひもといたりしている。大学で国文学部を目指す高校生には、内田作品はいい参考書になるかも……。
それなのに真面目なシーンにさりげなく入っているジョークに、何人の人が気付くだろう。気が付いたら「フフッ」と笑ってしまって、一瞬、肩こりがゆるむかもしれない。
今『地の日 天の海』を読み返している。
後の天海僧正が主役だけれど、いま正にNHKで放送されている大河ドラマ『麒麟がくる』とかぶっている。
読み進むうちに明智光秀が(麒麟……では主役)出てくるし、木下藤吉郎・織田信長・覚慶・松永久秀等々、テレビで演じている俳優の顔がダブってきて、ストーリーがわかりやすい。
光秀を演じている長谷川博己(以下敬称略)は、この役で演技開眼したのではないかと思うほどの演技に、演技に関しては素人の私はびっくり。
信長役で染谷将太が出てきたときは「エッ?」だった。私のイメージする信長とは、かなりかけ離れていたのだ。でも回を重ねる毎に信長が染谷将太に乗り移ったみたいで(その逆かな?)、「う~ん!」とびっくり。優れた演技者は凄い。
その役を演じるのではなく、その役になってしまうのだから。
今まで読んでいた内田作品の浅見光彦や岡部和夫は、完全にシティーボーイだ。 竹村岩男はまァ泥臭いところはあるけれど、作品の質や文体はやはりシティーボーイ派だ。
そんな感覚で『地の日……』を読んでいて、「~でござるよ」だの「~はてさて、それはいかがなものよのう」なんて時代物の台詞に、時々笑っている私がいる。
「これが浅見光彦やパソコン探偵と同じ作家が書いたものとは、とうてい思えませぬよ」。「そのようなご懸念には及びませぬ。この御仁は天才にござるによって」なんて。時々、生活の中でこんな言葉でやり取りしたら、外出自粛の日々の退屈しのぎになるかも……、ならないか。

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