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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

アホなこと

2021.6.6 Sun

子どものころの私は純朴でアホだった。いまの私は純朴ではないアホで、我ながら嫌になる。
まず子どもの頃のアホ。
夏にスイカを食べていて、思わず種を飲み込んでしまった。すると兄が「あっ! どうするの。お腹の中で種が芽を出して口からツルが伸びてくるんだよ。スイカが口の先で実ったらどうするんだよ」
私はそんな様子を想像して、怖くて怖くてしばらくの間悩んでいた。それなのに2~3日したら、もう忘れていた。
私には二人の兄がいる。そして妹も二人いる。下の妹が思い悩みながら言った。
「もしお父さんが死んだら大きい兄さん(長男)がお父さんになって、お母さんが死んだら大きい姉さん(長女)がお母さんになるのよね」
私は将来、上の兄の奥さんになるのはイヤだと真剣に悩んでいた(兄は弟妹思いの、いい兄です。念のため)。
コロナ禍でおうち時間ばかりで友だちとも会えず、感染が怖くてちょっとウツっぽくなって、ワクチンの予約電話は「こちらNTTドコモです。ただいま電話が……」状態でちょっとの2倍ウツっぽくなったとき、アホを思い出して笑って、ウツが1倍に戻った。
ワクチンの予約が取れてウツが0.5倍になった。子どものころのアホを思い出してウツが減るなんて、私は純朴ではないアホだったのだ。

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