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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

やはり駄目だ

2017.9.21 Thu

夫が脳梗塞で倒れる前の病気を含めて、介助や介護生活がそろそろ2年10ヶ月が過ぎようとしている。
その間『浅見光彦倶楽部』が『内田康夫財団』になったりして、まわりを取り巻く環境はずいぶん変化した。
日々夢中だった。夢中だったから、あまり長くは感じないけれど、でも思えば老域に入ってからの3年近くは長い。
いつも言うことだけど、これからも言うと思うけれど私には子どもがいない。それで夫の介護を含めて生活全てが私の肩にのしかかっていた。疲れきっていた。事務局のスタッフや友だちや編集者たち、そして妹の助けがなかったら、私は途中で心身共にキレていたと思う。
以前親友の『回遊魚A』に、「内田康夫という人間は、今はあなた一人のものではない。半分は読者と出版社と事務局のスタッフのものだ」と言われた言葉が、私にしっかりと根付いていた。だから復帰第一作の構想を促したりして焦った時もあった。
しかし今、完全にとは言えないけれど、『復帰まで時間がかかる』という現実をやっと受け入れ始めて、『短歌』ということからスタートしたのだった。
副産物として拙いけれど私にも短歌が詠めることが分かったのだけど(今は底をついている)、そろそろ小説を書こうかな?と言う気になって驚いた。
それまでに小説なんて言えるしろものではないけれど、一応出版されることを夢みて小説らしきものを書いていた。その続きを書こうかなとパソコンを立ち上げたけれど、書けない。空想力がまったくなくなっていた。
ブログは空想ではなく、身の回りで起きたことや感じていること、思っていることを書いているだけで、私の小説らしきものは空想力がないと駄目なのだ。
夫の介護で、とっぷりと『超現実』に浸っているうちに空想力がなくなってしまったらしい。
パソコンを立ち上げてみたけれど、3年前に書きかけていた文章が「もうアンタには無理だよ!」と拒否しているように思えた。
パソコンを立ち上げて1ヶ月、3行しか進んでない。
もう無理なのかなァ。それとも私の能力はそれだけのものだったのかなァ。

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