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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

自慢

2023.6.13 Tue

今年、WBCの試合で活躍した日本選手のおかげで、野球を知らない人たちもテレビにかじりついていたらしい。日本チームの全試合、カッコ良かったァ!
私は兄の影響で、野球の何たるかも知らないで、小さいときから『強い巨人』のファンだった。しかしこのところの巨人の弱さにがっかりして、日本の野球自体に興味がなくなっていた。
いまではテレビでの野球観戦は、NHKBS1でエンゼルス戦など、メジャーリーグばかりだ。おかげでメジャー選手の名前も随分覚えた。オホッピーだのレンヒーホだの……と。
あの大きなからだのプレーの迫力に圧倒されている。そして大きな図体のいいトシをした選手たちがベンチで並んで、口に含んだ水を一斉に吹き出してみたり、輪になってダンスのように飛び跳ねたりしているパフォーマンスが楽しい。もっともシャイな民族の日本人が同じ事をしても、サマにならないだろうけど。
大谷(以降、略敬称)の一挙手一投足にキーキー言ったりキュンキュンしたり。そしてエンゼルスチームはまだマシだけど、各ベンチを見てがっかりしたりで大忙し。だって! ゴミだらけなんだもの……で思い出した。
1998年に初めてのワールドクルーズでニューヨークに立ち寄ったとき、シティーフィールドにメッツの試合を見に行った。吉井がお目当てだったのだが、前日に投げたとのことで吉井を見ることはできなかった。その吉井が今年のWBC日本チームでコーチをしていた(お互いさまだけど、25年後の吉井は……。でもいいトシの取りかたをしていたかな)。
メッツの試合で、ニューヨーカーたちの応援はそれは凄かった。それより凄かったのは足元のゴミの凄さだった。
私の隣りの図体の大きな(……と言うよりデカイ!)オジサンが喚く喚く!食べる食べる! そしてそのゴミを足元に捨てる捨てる! おかげで私の足元にまでゴミが押し寄せていた。
私のじゃないそのゴミがいやで、私は一所懸命に短い足でそのゴミをオジサンの方に押し返していた。結局私はシティーフィールドに何しに行ったの?状態だ。試合の結果は覚えてないし、相手チームの名前さえ覚えてない。
その後のワールドクルーズでシアトルに立ち寄ったときは、イチローが出ているセーフコフィールドのマリナーズの試合を観戦した。
球場に着いた時、夫が「せっかくアメリカの野球を見るのだから、アメリカらしくホットドッグを食べようよ」。ついてはホットドッグを私に買ってこい……とのこと。
片言の英語もしゃべれない私はホットドッグ屋を見つけて、パンを指差して「this! and this!」。ニッコリ笑ったオジサンは「何たらかんたらmustard?」。わたしは「マスタード」だけは聞き取れたので、親指と人差し指で「少し」と答えた。
オジサンは今度はニヤリと笑ってマスタードをこってり。「no! no! little!」というと、いたずらそうに笑って「more?」とまたこってり。いま思い出しても笑ってしまう。日本人は若く見えるらしいので、私のことを子どもだと思ってからかったのに違いない(たぶん!)。
もちろんマスタードこってりのほうは夫に食べさせた。私を一人でお使いに行かせたバツだ。
席はホームベースから見て右側の外野席だったので、プレイするイチローをすぐ目の前で見られた。イチローもそうだけど、選手たちは引き締まったからだでキビキビとした動きで、テレビで見ているよりも素敵だった。ただテレビと違って、いまの場面をもう一度……のないのが残念!
さっきついでに買って来た『51 ichiro suzuki』と書かれた野球帽をかぶり、夫と並んでホットドッグを食べながらの野球見物は二度とない楽しい思い出だ。しかし相手チーム名は覚えてない。
船の出航の時間があるので、試合を最後まで見られなかったが、アメリカ大リーグの試合を、現地で見た……と、ちょっと自慢かも。