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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

お歯緑

2021.12.26 Sun

夕食後、歯を磨こうとして鏡を見たら、前歯が緑色をしているではないか。平安時代の上流階級の既婚の女性が『お歯黒』といって、歯を黒く染めていたけれど、令和の庶民の私は『お歯緑』?と、思わず一人笑いをしてしまった。野沢菜の漬物の葉っぱが、張りついていたのだった。
私の上前歯の2本は、もう20年近くも前に差し歯にしていた。以来時々海苔や菜っ葉が張りついて、お呼ばれの後など、他人に気付かれないように口の中で舌を動かして剥がしていた。
気付かれないようにするから、なかなか剥がれない。おまけにトシのせいで歯と歯の間にすき間ができて、そのすき間に入り込んだ菜っ葉の繊維や肉の切れ端が鬱陶しい。新橋あたりの昼休みのサラリーマンのおじさんが、歩きながら爪楊枝でシーシーしている気持ちがいまなら理解出来る。
差し歯にしたりインプラントにして、笑ったときの見栄えはよくなったけれど、やはり自前の歯と義歯とは違う。自前の歯のときは、海苔や菜っ葉は張り付くことはなかった。
歯だけではなく、顔にしても人工は見栄えはいいけど、いずれ不都合がでてきて、やはり自然には勝てない。人工的に真っ白にした歯はなんかわざとらしいし……と言いながら、トシと共に黄色くなっていく歯はなんだかなアだけど。
当分マスクの生活は続くだろうから、お歯緑の菜っ葉や歯にはさまった繊維は、マスクの下で舌をモニョモニョ取ればいいや。

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2021.12.23 Thu ワオ!