内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ノクターン
2018.4.30 Mon
私はモーツアルトが好きだけれど、映画『戦場のピアニスト』を見てから、ショパンのノクターン20番『遺作』がたまらなく好きになった。
ノクターン……、夜に一人で聞いていると、胸にしみじみ、胸にキューンと染みこんでくる。
ほの暗い部屋で、この曲を私のためだけに弾いてくれたら、私は参ってしまうかもしれない。
先日記念館に献花に訪れてくれた昔の友だちが(当時は芸大のピアノの先生だった)、「何か弾く?」って。もちろん『ノクターン20番』
ここ何年も調律をしてないけどと言うと、そんなのどうでもいいって。
私のためにだけ弾いてくれた20番。記念館には大勢の人がいたし昼間だし。でも抑えていた気持ちが壊れて泣いてしまった。
ノクターンか! 日本語で『夜想曲』。
そうか! 夜想曲って、ヤスオー曲だ! かなり訛っているけど。これでは私は泣くはずだ。
夫のいない軽井沢。風になったって、それは気配として感じるだけだもんな。
昼間は元気・元気にしているけれど、夜に『ヤスオー曲』を聞くとやっぱり泣いちゃう。
立ち直り……、キャリーのときは2年。はてさて!?