内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ルンルン!
2020.7.30 Thu
今年の梅雨のしつっこさと言ったらない。ベチョベチョと小止みなく降り、止んだとしてもドン曇り。コロナで滅入っていると言うのに、まったく滅入りの二乗よね。でもやっと雨が上がった。
♪ 雨上がりの朝……、私に届いたのは短い手紙ではなく、カーテンを開けた途端に小鳥たちの姿だった。久しぶりに薄日が射していて、大きめの、中ッくらいの、小っこいの……と、鳥たちが飛び回っていた。
その多くは女の子を追いかけてナンパしようとしているらしい。ピーチクパーチク、ゲーギャー、と、小鳥たちが大騒ぎをしていた。鳥たちだって、ずっと気持ちがクサクサしていたのだろう。
あれっ! ナンパするついでに、我が家の庭の木にぶら下がっては何かをついばんでいるヤツがいる。鳥たちのひと騒ぎが終わってからベランダに出てみると、それは桑の木で赤い実がついていた。
野生の桑だから7ミリ(ちゃんと物差しで計った)ほどの小さな実だった。それでも赤く熟れていて、彼らのお腹を満たしているのだとうれしかった……がッ! 私、桑の木だとは知らずに、芽吹きのころ、ベランダに張り出していた枝を切り落としていたのだった。
ゴメン! 知らなかったとはいえ、私は彼らの食料を処分していたのだ。
来年は桑の枝張りの邪魔はしないから。ただ……、樹液でベランダは汚らしくなるし、落ち葉だって掃除が大変なのよね。放っておくと、朽ちた落ち葉から雑草が生えてくるし。
それにしても久しぶりの青空は、心を豊かにしてくれたみたい。♪ルンルン。