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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

暑さボケ

2023.9.13 Wed

軽井沢の涼しさに慣れてしまった私が、東京のあまりの暑さに脳細胞が破壊されてしまったらしい。
ボケーッとしてはいたが,紫外線予防の手袋をして日傘をさして銀行に行った。そして2件の振り込みを済ませ、郵便局に行って1件の振り込みをして、その足でスーパーに寄って買い物をして暑さにボケーッと帰ってきた。
ボケーッとしていたが、迫っている月末の経理事務のための振り込み済みの用紙の整理を……と思ったら銀行通帳がない。
途端に破壊された脳がパニック状態になった。預金通帳には国家予算を上回る預金が……(ウソですよ!そんなこと、あるわけないでしょ)、それより振り込み用紙には振り込み先の名前と銀行名と口座番号が書いてある。
もうパニックの3乗だった。頭が真っ白になるとはこういうことだと、あとで分かった。
日焼け予防なんて気持ちはぶっ飛んで、家を飛び出した。たぶん目は虚ろ。
道に落とすはずはないけれど、道路をキョロキョロしながらまずスーパーへ。レジで聞いたけど落とし物はないとのこと。途中に交番があったけれど『パトロールのため留守』とのことで、次に郵便局へ。
窓口に老婦人がいたけど横から割り込んで「あのオ、貯金通帳ありませんでしたか?」。もちろん窓口の人は「いいえ!」。老婦人も「私、今までそこに座ってましたけど、何もありませんでしたよ」と。
私は真っ青になって(銀行に行って通帳をストップさせなくては……)とカウンターの端を見て……、あった! 通帳と振り込み済みの用紙を挟んだクリアファイルが、そのまま置いてあった(テレビだったらファファファファア~!と効果音付きで座りこむ)。
老婦人「よかったですねェ!」と、こんな安堵の気持ちったらない。途端に汗をかかない私に汗が噴き出していた。
帰りの足取りの軽いこと。猛暑なんてどこの話?状態と、平和日本のありがたさをしみじみと感じていた。
それにしても、こんなボケとパニック状態はもう二度とヤダ。