ブログ

HOME > 早坂真紀つれづれ

内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

窓の外

2021.9.19 Sun

軽井沢にいる時は、窓から外の景色ばかり見ていると以前書いた。森の中にある我が家の窓からは、緑しか見えない……と言うより、マジ(いまこう言う言い方が流行っているのね)緑に包まれている。だから昼間の私はボケーッと窓の外ばかりを見ていた。
私が青ざめて見える時は、多分緑に染まっているのだと思う。
先日ほぼ二ヶ月ぶりに東京に帰ってきた。片付けなくてはいけない仕事が、どっさりと溜まっていた(遊びほうけて、溜まってしまった夏休みの宿題みたい。まッいいけど)。
久しぶりの東京の夜景がきれいだった。軽井沢にいる時とは逆に、私は夜になると窓際に立ってボケーッと外を見ている。
東京の夜に闇はない。だからしっかりと夜景が見える。
コロナ禍のせいでいつもよりは地味目だけれど、ネオンの明かるさがきれいだ。これが昼間になると街の様子はがらりと変わる。かなり濃いメイクを落とし た後の、わりとトシを重ねた人の素顔を見るようで、ちょっと切なく、ちょっと哀しい。
軽井沢では夜は窓の外は見ない。何故かと言うと窓の外は漆黒の闇だ。部屋が明るくて外が漆黒の闇だということは、窓ガラスは鏡のようなもので、カーテンを開けるとそこには私の顔がモロ(これも流行っている言葉)映っているということだ。映っているその顔はマジ恐ろしかった。
こんなにトシをとるつもりはなかったのに、いつの間にかトシを重ね、恐ろしげな老婆が私を睨んでいるように見えた。
でも……、私はメイクは一切してないので、昼間の顔もモロ恐ろしいってこと?
あの日以来、私は軽井沢にいる時は、夜は窓の外を見ないことにしている。
あの恐ろしげな老婆はいま、生意気にもモーツアルトを聴きながらブログを書いているのだった。

 »

2021.9.12 Sun 遺骨