内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ローラなんたらかんたら
2017.9.30 Sat
何だか気だるく……って書けばカッコイイけれど、本当にやるせなく……って、又々カッコイイけど、鬱々としていた。
こんな気持ちのまま夫に接してはいけない。夫までが鬱々になってしまうと、JR四谷駅で下りたとき、寄り道をすることにした。
駅ビルでウロチョロしていると、可愛いバラの花の小物を売っている店がある。
イカン! こんな店に寄ったら、私は絶対に物欲に支配されると通りすぎたが、やはりバラの花の小物が私を呼び止めた。
物欲しげな私の目にティーポットが飛び込んだ。透明な本体に、可愛いバラの花が描かれている。
我が家にはティーポットはたくさんある。私の逡巡よりティーポットのほほえみのほうが勝っていた。
ティーポットを包みながらお姉さんがにっこり。「あの、あと100円分のお買い上げで、この商品をプレゼントさせていただくのですが……」
手にバラの花がプリントされた、台所洗剤のボトルを見せる。おお! 台所が華やかになる。欲しかった。それで「じゃ、ちょっと待って」と棚を見ると、ティーポットとお揃いのカップ&ソーサーがある。迷いもなく2客分……。
何と言う高い100円だ。
妹とお茶をしたとき「あら! これローラ・アシュレイじゃない」って。私、ローラ・インガルスなら知っているけれど、エッ? 有名なの?
イギリスのブランドで、可愛いバラの花がモチーフなんだって。妹はそのローラなんたらかんたらの化粧ポーチやスカートも持っているのそうだ。
ブランド名にはまったく弱い私だけれど、やっぱりイギリスが私を呼んでいたんだと、ちょっぴり満足。
高い洗剤についたけど、鬱々がすっきりして、まッ、いいか!
よく見たら、洗剤のボトルにプリントされている花はバラではなくアネモネだった。まッ、いいか。