内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
サーカス
2018.11.26 Mon
東京駅を出て秋葉原を通過する時は右手のビル(軽井沢から上京する時は当然左)に『木下サーカス』の垂れ幕があった。
本心を言うと、サーカスという言葉は私の意識から消えていて「まだあったのだあ」と思った。
サーカスか!! 『木下サーカス』。懐かしいなあ。天幕の中で見た空中ブランコや球体の中でのオートバイ乗りなど、最後にサーカスに行ってからどのくらい経ったのだろう。もしかしたら小学校の4〜5年生ころ?
走る馬の上でのアクロバットのような演技に、ドキドキしていたものだ。
あの体の柔らかさ。あんなに身体を柔らかくするには酢を飲むんだってと誰かが言っていた。
私は少しは酢を飲んだかもしれない。量が少なかったせいか、私の身体はちっとも柔らかくない。
しばらくぼーっと思い出に浸っていた。
最近のは私は思い出に浸ることが多い。トシなのかな? それとも……短いのかな?