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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

2018.3.1 Thu

買いたいものがあって、地下鉄に乗った。時間が時間だったからかなり空いていた。
言い訳じゃないけど言い訳をすると、足の疲労骨折以来、私は電車ではなるべく座るようにしている。
相変わらずスマフォとにらめっこをしている人が多い中で、向かいに座っていた細身でいかにもお洒落な青年は、中吊り広告を見ているようだ。
「いい青年ね」と思っていたら、カバンから何かをとりだした。「チェッ! せっかくいい青年だとおもったのに、アンタもスマフォかよ」と思おうとしたら、うつむいて取り出したもので鼻の頭を拭いて、停車駅で降りて行った。取り出したのはあぶらとり紙だったのだ。
「あらまァ! お洒落」。こんな時の夫との2人ブームの言葉は「あらまァ、おやまァ、お山遊園地!」なのだけど、さすがに心でつぶやくだけにした。
たぶん青年は営業マンか何かで、身だしなみを整えたのに違いない。
でも脂が鼻の頭でいいわねェ。自慢じゃないけど、鼻の頭に拭く脂が無くなるころは、その脂は全部お腹にたまるのよと、このところのお腹ぷっくりが哀しくなっていた。
やっぱりヘルスメーター復活、200g単位の体重維持復活と、心に誓った。

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