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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

ウンザリ

2018.10.14 Sun

久しぶりに地下鉄に乗った。そのむかし外苑前から日本橋までの地下鉄通勤だったが、あのころより電車は数段きれいになって、レトロな客車まであった。駅構内だって明るい。
むかしの地下鉄はときどき一瞬だけど暗くなることがあったが、今はそんなことはない。
車内放送があった。聞き耳をたてていた。
いつもご乗車有り難う御座います……に続いて「車内でおからだのご不自由な方がいないか、まわりを見られて……」って。エッ? 見られてって?
以前、日本橋のデパートで靴を買おうとしたら、「どうぞそこに座られてお待ち下さい」と言われて目が点になったことがあったっけ。
使い慣れない丁寧語は無理しなくていいのにと、思わず「クスッ!」だった。
最近気になるのは、「思います」という言葉だ。
国や会社の偉い人、テレビのスター級のメインキャスターから始まって、スポーツ選手・タレントも「思います」のオンパレード。その度に私はテレビの前で喚いている(喚かないと、発声のしかたを忘れてしまうから?)。
「今後このような事がおきないようにしたいと思います」
この間なんて国会で、「申し訳なく思っている次第であります」だって。
「こころよりお詫び申し上げたいと思います」
「お礼を申し上げたいと思います」
「ではそのニュースをお届けしたいと思います」
「みなさんの応援に感謝したいなと思います」
「メダルを目指して頑張りたいと思います」, etc.
私の喚き……
「思っているだけかッ!」「思っているだけだから世の中が良くならないのだ!」, etc.
言葉は時代と共に変化するとはいえ、『思います』は決心したわけではなく、曖昧な気持ちだから……って、私、相当オバサンしてるなと思います。

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