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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

帰りたい

2016.12.1 Thu

今日から12月。カレンダーが最後の1枚になってしまった。
今年の冬は例年より早かったようだ。11月の中頃には北国のあちらこちらからの雪便りがあったし、軽井沢でもかなりの積雪だったようだ。
「お山(浅間山のこと)に3回雪が降ったら里にも雪が降る」と、地元での言い伝えで、里がかなりの積雪だったから、浅間山もふもとまで真っ白になっていることだろう。
私も11月の中頃になると、赤い愛車をスタッドレスタイヤに履き替えて初雪に備えたものだ。それなのに2年続けて……と、胸がキュッ!
雪道をいく車をテレビで見ていて、ギシギシと雪を踏みしめるタイヤの感触を思い出した。
その感触で、たまらなく軽井沢に帰りたくなった。あの雪道を車で走りたい……。
我が家辺りから公道に出るまでの北側の日陰の坂道は凍り、春先まで解けない。
用心に用心を重ねても、年に1度はズリッと後輪が滑る。その時の心臓が縮むような瞬間。想像しただけでも「たまらんなァ!」だ。
夏の軽井沢の道路はもの凄く渋滞する。財団の事務局から、普段なら車で10分くらいなのに、我が家まで70分もかかったことがあったくらいだ。
そんな時は国道から脇道の土手道に入り、ガツンと土手から河川敷に下りる。そして釣りや水遊びを楽しんでいる人たちを見ながら、小石や砂利で車をガタガタと揺すられながら走る。そしてまた土手にズドンと登って帰ることもあった。
そんな私なのに、高速道路を走ったことがない。右折禁止左折禁止、そして何車線もある道路は怖くて、東京では絶対に運転はしない。首都高なんて、あんな訳のわからん道路を走る人の気が知れん! 都会の道路は怖いなァ……って、軽井沢に帰りたいなァ!
段差だらけの我が家が、ちょっと憎らしいかな? あのころに『バリアフリー』って言葉を知っていたら、自分たちもいずれは『老いる』ということを、きちんと把握していたら……。
言いますまい、言いますまい。

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2016.11.27 Sun 何とまァ!