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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

白い夜明け

2016.12.7 Wed

この1年近く原因は不明だけど、誘眠剤を毎晩飲んでいるのにもかかわらず夜中に毎晩2~3回は目が覚めてしまう。
目がさめて時計を見て「何だ、まだ1時半か」。そしてウトウトして「何だ、まだ3時か」状態だ。ウトウトできればいいけれど、どうしても寝付けないときは本を読むときもある。
それで毎朝6時ころには起きてしまって洗濯機をかけたり、パソコンに向かったり。
今朝は4時半ころからどうしても寝付けず、カーテンを開けて外を見ていた。
勿論外は暗く、人通りはなかった。
暗いと言っても、軽井沢の我が家あたりの暗さではない。我が家あたりの暗さは、自分の足もとも見えず、それこそ鼻をつままれても分からない漆黒の闇だ。
そのてん都会の夜は外灯はあるし、夜通し点いているネオンもある。信号機や時折通るタクシーのライト、24時間営業のコンビニの灯りがあるから真っ暗ということはない。
以前夫が「そうか! 東京の夜には暗いという言葉がなかったんだ」とつぶやいた言葉を思い出した。東京には『智恵子』の空もなく、夜もなかったのか。
足が冷たくなってまたベッドに入って横になってハッと目が覚めた。5時半……。レースのカーテンを通して、白い夜明けだった。ワールドクルーズの時に体験した白夜を思い出した。
白夜……。
水平線に漂うようにして、なかなか沈まずにいつまでも漂っている太陽。何時間もかけてやっと沈んだかと思うと、もう間もなく太陽は水平線に顔を出し始める。白っぽい夜明けだ。
ベッドの中で東京の白い夜を見ながら、旅の思い出に浸っていた。
朝テレビで、ノーベル賞受賞のために大隅教授がノルウェー入りをしたと告げていた。その風景に、夫とノルウェーの街並みを歩いたり、ノーベル博物館でチョコレートのメダルを買ったことなどを思い出していた。
グズグズしていてベッドから出るのがいつもより遅くなったけれど、起きて真っ先に冷蔵庫の中のチョコレートのメダルをチェックした。
私、このチョコレートをいつまで取っておくつもりだろう。賞味期限など何年も前に過ぎているけれど、夫との旅の思い出だものなァ!

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