内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

現実

2017.8.7 Mon

これから東京に帰る。
楽しい2日間だった。森の中の家、浅見光彦記念館、ティーサロン「軽井沢の芽衣」、そして「浅見光彦 友の会」の会員さんたちとのふれあいなど、良かったりうれしかったり楽しかったりの連続だった。
しかし……、いるべき人がいない。
どこにも「いるべき人」の痕跡があるだけだなんて、ほんとうに寂しい。でもこれは現実なのだ。
これから東京に帰っても、また現実が待っている。
奇跡が起きないかなあ。
「犯人が見つからない」とウロウロしていた人が今すぐここへ帰ってこないかなあ。
私の目を盗んで碁会所に通っていた人が帰ってこないかなあ。
悪戯っぽい目をして私を煙に巻くジョークを言っていた人が帰ってこないかなあ。
復帰するために頑張っている夫なのに、私は焦り過ぎかもしれない。
現実を受け入れて、夫の力にならなくては……。分かってはいるのだけど。