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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

3月13日に……。

2025.3.13 Thu

3月13日、あの日から七年目を迎える。それなのに私はまだ現実を認められずにいる。
誰でも生まれてきたからにはいつかは訪れるその『現実』を知ってはいるけど、七年目を迎える今でも、夫がいないという現実は認めたくない。認めたくないと言いながら、家の中から夫が使っていたパソコンや服や日用品などを、徐々に片付けているというのはおかしなことなのだけど。
私は宗教や霊魂などというものはあまり信じない方だ。それでも時々夫の気配をそばに感じたり、思い悩んでいるときには必ずといっていいほど夢に出てくるのが不思議だ。
夢の中で夫は、不思議にその時の私の悩みの答を出してくれる……と言うことは、目には見えないけれど、夫の『魂』というか『心』が私を守ってくれているのだろうかと勝手に思っている。そして魂や心を誰も見たことがないから、そこから宗教が生まれるのかも……と。まアいいや! 私個人のことだから。
それにしても、誰にもその現実の日が近づいていることは確かなのだ。
私が勝手に『オババ三美神』と称んでいる(三微震かもしれない)うちの一人、私(A美神)の夫が六年前に亡くなり、B美神の夫が一昨年逝った。C美神の夫も、最近は補聴器が役に立たないほど耳が遠くなったそうだ。そして先月転んで、一人で起きられなかったらしい。ということは……。
以前、私が転んで鼻をしたたかに打って鼻の付け根を中心に内出血。骨折はなかったけれどひどいありさまだった。(鼻ではなく、額とアゴを打ったのではちょっと哀しいかも)。
その後C美神が転んで足を骨折して入院。ほどなくB美神も転んで足の骨折で入院。そして私はまた10月の終わりに街の中で転んで鼻を打ち、またまた鼻の付け根を中心に内出血(よほどの悩みがあって、心ここにあらずだったのかな?)。またもや骨折がなかったのがさいわいだった。
いまは三人とも普通の暮らしをしているが、その『現実』はそれほど遠いことではないということを確認した。だから残りの一日一日を大切に生きなくちゃと、先日三美神が顔を合わせたとき、「出会ったときはまだ若かったのに、いつの間にかトシをとっていたのね」としんみり。
そのとき私は「夫の命日が3月13日で、キャリーの命日が3月14日。だから私の命日は3月15日にすることにした」と宣言するとC美神はニコッと笑って、「じゃ3月15日にまだ存命だったら、また1年会えると言うことね」。
そう言う返しって好きだなァ。そういう返しをしてくれた人は、あと一人いた。
その人はかなり真面目な人で、普段はあまりジョークは言わない人なのだ。
だから尚更うれしかった。
たいていの人は「命日は自分では決められないのよ」と、真面目な顔をして言うけど、そんなこと私だって知ってるよ!
ジョークは相手を見て言うべきなのだが、私はおっちょこちょいだから、誰かれかまわずジョークが出てしまう。なかにははジョークと受け取らないで「いじめられた」とか「バカにされた」と受け取る人だっているのだと、遅まきながら納得。
そんな私に以前夫に「キミは黙っていると賢く見えるのだから、人前ではあまりしゃべらないほうがいいと思うよ。しゃべるとアホがバレバレだよ」と言われていたっけ。
分かっているけど、やっぱり私の前世がブラックジョークの好きなイギリス貴族だったせいかも……と、これもジョークです。
3月13日かァ! 夫が亡くなる前に「イギリスで待ってるね」と言っていたけど、私がイギリスに逝く3月15日は何年後なのだろう。
その日まで心穏やかに生きたいなア! 当分死にそうにないと言われるけど、残り少ない自分の人生だものなア!
テレビのアニメだったか、女の子が神さまに「どうしたら穏やかな心になれるの?」というようなことを聞いていた。神さまは「それはお前の心から『欲』がなくなったときじゃ」と。
そうか! 心穏やかな人生をおくるために、頑張ろう!

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2025.2.13 Thu 森の暮らし