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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

生命

2018.9.13 Thu

9月13日。あの日から半年が過ぎてしまった。
なかなか手をつけられないけど、ぼちぼち夫のものを片付けなければと思いながら、なかなか踏ん切りがつかないでいる。でも片付けなくては……。
光熱費や何やかやの名義変更など現実は動いている。こうして『人』が生きてきた根跡は消えていくのだなと寂しい。
でも彼には残した作品がある。それが夫がこの世に存在した証拠になるのだけど、私は?と、たいていの人は跡形もなく消えていくだけなのだ。
でも、でも。
46億年前に宇宙の彼方から火の玉が飛んできて、41億年前に海ができた。そして40億年前に原始生命が誕生して500万年前に猿人が現れ、ホモ・サピエンスが誕生して今の私の存在に繋がる(気が遠くなりそう)。
その前があって曾祖父母がいて、祖父母がいて両親がいて私に続いてきた生命。
でも私には子どもはいない……と言うことは、地球誕生以来46億年と続いてきてたどり着いた『私』は、私でプツンと途絶える。
そのことを友人に言ったら、彼女の子どもには子どもがいないから1代だけ先送りになるだけで、結局何の痕跡も残さず消えてしまうと笑われた。
遺影を見ながら、そんな『凄くでっかい』ことを思ってしまった。
夫の残した作品の数々を読み返しながら、『内田康夫』という存在はあと何年続くのだろう、痕跡はどのくらい残るのだろうと思った。
「まだ迎えにこないでね」と遺影に語りかけているけれど、『私』が消えてしまうのはいつだろう。
46億年という時間から考えたら、人間の存在、夫との時間など何もかもが瞬きにもならない時間だけど、夫のいない時間は長い。
夫が逝ってもう半年? まだ半年?

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