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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

二人でラグビー

2019.9.29 Sun

たぶん夫も見ているだろうと、ラグビーの対アイルランド戦を真剣に見た。相手がアイルランドでは、よほどでないと勝てないだろうと、初めは気楽に見ていた。
ふと気が付くと、私の上体がボールを追って前後左右にゆらゆらと揺れている。ルールも試合用語も何も知らなくて、夫がいれば聞くことができるのだが、何とかかんとかでボールが止まると「フーッ!」と、私の姿勢が正常に戻っている(夫もそうだった)。
ああ、私は夫のこんな状態を見て楽しんでいたんだと、胸キュン。
どんな状態であっても、夫は騒がない。うれしそうにニヤッとしたり、ウーン!と残念そうにため息をつくだけだった(時々、「アッ!バカ!」って言っていたっけ)。
それなのにそんな夫を見て楽しんでいた私が、「行けーッ!」だの「カハーッ!」「ワオ!いいぞー!」なんて、一人で騒いでいた。
勝ったじゃん! 日本チーム。
夫がいたら(いや!そばにいる)、うれしそうに「やったね!」とポツッと言うだけだろう。でも私は妹に電話をかけ(いなかった)、友だちに電話をかけ(いなかった)、夫のために喜んでいた(私はいつまで夫・夫と言っているのだ、いい加減にしなさい。このバカ!……)。
試合後、ゴツくてデッカい、決して美しいとは言えないけどカッコいいオトコが泣いている。それを見て私も目が汗をかいてしまった。
何事でも真剣な姿はカッコいい(夫もパソコンに向かって集中している姿はカッコよかった。時々私は書斎を覗いては、そのカッコいい姿にウッフンしていたっけ。集中心からあの名作が生まれるのだと)。
前回のワールドカップで南アフリカに勝って、日本チームは世界をアッと言わせた。今回もアイルランドに勝った。もしかしたら日本チームは神ってる?
でも次はスコットランドが待っている。たぶん今頃は日本チームを研究しているだろうな。
スコットランドチームの選手たちに言いたい。「あなたたちは世界のトップクラスなんだから、日本チームのことなんか研究しちゃダメ! 今は思い切り日本観光を楽しみなさい!」
私って、姑息?(姑息そのものよね)。

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