内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

しつこいヤツだ

2019.10.24 Thu

家を片付けていたら、25×25センチくらいの缶が２つ。ヒマワリの種だった。
小鳥やリスのために買いだめしてあった種だけど、サルが出没し始めてからは、サルを呼び寄せることになるので、そのままになっていた。
あれから何年経ったのだろう、最近はサルの姿を見かけないし、噂も聞かない。それに先日軽井沢駅からタクシーに乗ったとき、我が家近くでリスがタクシーの前を横切った。凄く嬉しかった。思わず運転手さんに「まだいてくれたんですね。うれしい！」と話しかけてしまった。
サルの噂も聞かないし、そろそろヒマワリの種をベランダに撒いてもいいかな？と思ったら、サルめ‼︎ 私の思いが聞こえてしまったのだろうか。一匹、屋根の上でキョトキョトしているではないか。
どうせはぐれサルだろうけど「軽井沢はお前のでくるところではない！ どこかに消え失せろ？」と、口汚く思ってしまった（この場合、口汚く‥‥ではなく、声を出さなかったのだから、願い汚くかな？）。 まだサルが残っていた。チェッ‼︎ おかげでヒマワリの缶が片付かない。
噂をすれば何とやら……。これからは『サル』という言葉を思うこともできやしない。