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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

明日香の皇子

2020.4.29 Wed

内田康夫の作品って、何度読み直しても新しい発見があり、その度に語彙の豊富さに感動してしまう。
「こんな漢字知らなかった」だの「へー! こんな四字熟語があったんだ」等々。
そして携帯電話がなくても、高速道路がなくてもちっとも古さを感じないし、堅苦しいテーマだってスルリと受け止めている。
やっぱり彼は天才だ! と言って「自分の夫をそんなに褒めるものじゃない」と叱られたことがあったっけ。でも天才は天才だ。夫の作品を「この程度なんて、フツーでしょ」なんて、私は言えない。
いま『明日香の皇子』(角川文庫 平成13年5月20日54版)を読み直している。
書かれたのは昭和58年ころだから37年も昔になる。それなのに……。P15にさしかかったとき、「正に今のことジャン!」と思った。
コロナという訳の分からないウイルスが、それこそ地球上に蔓延して人間の命を奪っている。そのウイルスを絶滅させるには、今のところ『自宅待機』しかないと言われているのに「退屈だから」とか「パチンコ屋が開いているから」とか「自分は罹らない」からと、パチンコやサーフィンに興じている輩がいる。
感染者と言う名の日本を救えるかどうか???だ。おまけにそんな『日本』を救おうと奮闘している医療従事者やその家族に対する心ない言動をする人がいるらしい。
日本人はいつからこんな民族になってしまったのか……と、その頃の夫の思いを感じながら読み進んでいる。
その後もP76の坂元の言葉(長くて引用できない。要するに自分の欲望を抑えることの出来ない享楽主義や刹那主義の人たちに対する坂元の気持ち)や、P189~190の「国民は国のために何ができるか……と言うと、やれ右だ左だと決めつける」というところでは、夫の「真ん中だってあるだろう?」という気持ちに「うんうん」。(真ん中だって……という気持ちは『靖国への帰還』にも現れている。いま国民が国のためにできること、それは右でも左でもない『自宅待機』だ)。
まだそのあたりまでしか読んでないけど(内容自体は把握している)、これからも「うんうん」がでてくるのだろうなと思いながら、それにしてもコロナが早く収まって普通の暮らしがしたいなと「ブツブツ!」。
このままでは日本の芸術・文化が廃れてしまうと論じられている。廃れさせないためには、とにかく外出を控えることなのにと「ブツブツ!」。

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2020.4.27 Mon 進化?