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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

増えちゃった

2020.6.12 Fri

外出自粛を守って、外出は週に1度か10日に1度の買い出しの時だけだった。
感染を抑えるために、人との接触を8割減らすように要請がでていたが、元々私は人付き合いは少ない。だから人との接触を8割減らすといっても、減らしようがないのだ。それに家に籠もっていることが苦にならない……というより、人付き合いよりも籠もっているほうが好きだから、いつも通りの生活をしていた。
でも好きで籠もっているのと、自粛を要請されて籠もっているのとでは精神的に違うようだった。
コロナウイルスをうつされるかもしれない、本当は私も無症状の感染者で他人にうつすかもしれないと何だか落ち着かなくて、1日中家の中でウロウロと森の熊さん状態だ。
トシのせいか朝は早くから目が醒めて、仕方なくベッドの中で本(内田作品で、今は『朝日殺人事件』)を読んで腕が疲れるので起きて朝食。
私の朝食は十年一日の如くで、山盛りのサラダ・青汁を溶かした牛乳にトースト。
これは夫が存命のときから変わらないが、夫にはハムエッグやオムレツなどをプラスしていた。
しかし朝から味噌汁とご飯が欲しい夫は、長年不満を抱えていたらしい。それは作品の中で謎かけのように要求されていた。
浅見光彦が取材旅行中、宿で供された和食の朝食に感激するシーンは、朝食の不満の私へのメッセージだったことくらい、私は知っている。
しかし普通のお宅と違って、我が家は自宅が仕事場だ。それで食事は毎日毎日3食を準備しなければならない。
仕事は座りっぱなし、趣味の囲碁もテレビ鑑賞も座りっぱなしで汗をかくことはない。それに濃い味が大好き……で、カロリーや塩分など、健康管理には一応気を遣っていた。
話はずいぶん脱線したけれど、何を言おうとしたか。
そう! 自粛・自粛と1日中ウロウロして、考えることは食べることばかり。「何か食べたい! 何か食べたい!」と気が付いたら、自分に課している体重の上限を400グラム超えていた。
400グラムなんて誤差のうちと言うけれど、その誤差に甘えていたら、誤差が1キロになり2キロになるのだ。
体重が1キロ増えたら、ウエストは1センチ太くなるとか。
服を買い換えるより、体重を落としたほうが経済的……と、ケチな私の考えることではあった。

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2020.6.6 Sat 世界一