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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

勘違い

2021.8.15 Sun

窓の外をぼんやり見ていたら、ナナカマドの枝先のいく粒かの実が赤くなりかけていた。まだちょっと早いんじゃないの?と思ったら、窓の下のブルーベリーの実のいく粒かも紫になっていた。
うれしくて庭に出たら、紫式部の実も紫に染まり始めていた。
都会では暑い暑いと言っているが、もしかしたら軽井沢はもう秋の便りが届き始めているのだろうか。
私は7月の終わりころまで、明け方になると寒くて目が覚めていた。それで午前中は暖房を入れているのだと言ったら、友人に「気持ちわる~い!」と笑われた。湯上がりだって、1時間ほど経つとからだが冷え冷えになって、ウールのカーディガンを羽織り膝掛けだって必要になるほどだ。
冷血動物みたい。エッ?もしかして……。
私は前世イギリスの男爵令嬢だったと吹いている。しかし、もしかして、前世は爬虫類だった?
貴族のマナーハウスの壁に張り付いていた記憶が、令嬢だったと勘違いしていたのかもしれない。
もともと私は汗をかかない体質だ。それは生まれが『やんごとない』からだと自慢していたが、そうか!前世は男爵家の壁に張り付いていたヤモリだったのかと、色づき始めた木々の実を見ていて情けなくなっていた。

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