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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

ホコリ

2022.2.6 Sun

ふと気が付くと、壁際に置いてある椅子の下に綿ボコリが溜まっていて、私の動きに合わせてフワッ! フワッ!と動いている。そしてホコリはベッドの下やデスクの下など、人目の届かないところでこっそり肩を寄せ合っていた。
このあいだ掃除機をかけたばかりなのに、シーツや布団カバーを替えたときにホコリが出たのだろうか……と言って、シーツなど、そんなに毛羽だっているわけではないのに。
そのことを友人と愚痴りあった。
「私んとこは狭いから、すぐホコリが溜まっちゃうのよね。狭いから掃除機をゴロゴロするのも面倒だし。家が広いと掃除も楽だろうな」
「でも家が広いと、それだけで掃除をする気がなくなるんじゃない?」
「あのホコリなんとかならないかなア」
「綿ボコリを集めて、布団の一枚くらいできないものかしらね」
「ね、ね、冷蔵庫の上、見てごらん、台所なのにすごいホコリよ」
「ウチの冷蔵庫の上は物がいっぱいだから、ホコリが溜まるスペースないから……」
「ホコリで人が死ぬわけじゃないし、まっ!ホコリくらい見逃すか」
女の愚痴って、なんとレベルの低いこと。
でもコロナ禍のいま、家にお籠もりばっかりで……、そうか! だからホコリの溜まる速度が早いのか。
しかしホコリは隅っこに隠れていたり、人の動きによる風圧であっちにふらふら、こっちにふらふら。ホコリよ! ホコリがあるならコソコソ隠れるな。堂々と出てこい! 掃除機で吸い取ってやる。

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