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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

ヒヨドリ

2022.5.6 Fri

我が庭ではシジュウカラやコガラが枝から枝を渡りながら「ツイッピツイッピ!」と鳴いている。合間にウグイスが「ホーホケキョ!」と、負けじとばかりに声を張り上げている。
このあいだ私は、ウグイスに悪いことをしてしまったので、今回は窓から花を愛でながら、鳥たちの声にただ耳を傾けていた。これぞ軽井沢と、森の暮らしがうれしい。
数えてみたら、軽井沢に移ってきて39年が過ぎていた。39回も季節の移ろいを楽しんできたのだった。
我が家の庭は今、ユキヤナギ、レンギョウ、三つ葉ツツジ、クリスマスローズ、残りわずかだけど垂れ桜等々が軽井沢の遅い春を彩っている。
あれっ? 窓の下のレンギョウの枝がしなっている。ヒヨドリがレンギョウの花をついばんでいるのだった。私に見られていることにも気がつかないで、ひと枝全部の花を食べるつもりらしい。
「こらァ!」と注意しようと思ったけれど、花盗人という言葉があるし(この場合は花盗鳥か)、追い払うのも粋じゃないなと、しばらく穏やかな時間を楽しんだ。しかしヒヨドリの姿は『粋』とは縁遠いかも。
別荘に来ている友人は、きれいに咲いている花の茎に、アブラムシがギッチリついているのを見て退治しようと思っていたら、翌日、テントウムシの幼虫がアブラムシを食べていたって。
アブラムシはテントウムシのご馳走だったのだ。
自然は素敵だ。

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