内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

ちょっと弱音

2017.1.21 Sat

弱気な私を見せちゃったら私でなくなるけど、ちょっと弱音を……。
夫が脳梗塞で倒れて1年半、その前の病気から数えるとそろそろ2年の介護。
振り返ってみると、私は我ながらよく頑張っていると思う。そう、編集者の方々や友だち、そして事務局のスタッフや妹からは頑張り過ぎだと言われている。夫よりも私の方が倒れてしまうのではないかと心配して、たくさん手を差し伸べ気遣って下さっている。ヘルパーさんたちの気配りだって感謝感謝だ。
確かに一時は鬱になりかけた事もあったが、未だに続くこの方々の助けが私を支えている。
でも、治りたい、早く会員さんに会いたいと頑張る夫の姿を見ると、子どものいない私がしっかするしかないのだ。夫だって私に完全に頼りきっているし。
でも今、私はちょっと弱気。何故って、今までの私は弱いところは見せずに、エッセイなどでも自虐ネタで他人を笑わせたりして無理しているから、疲れちゃったのかもしれない。疲れが私を弱くしているかも。……なんて言いながら、これからも『明るい私』でいるだろうけど。
昨日は天井をじっと見つめていた夫が「早く『孤道』を何とかしなくてはと思うだけで、今のボクはどうしたらいいのかわからない。会員さんたちも待っているだろうし。でも、もしかしたら、会員さんはもうボクのことを忘れてしまったかもしれない」と、哀しそうだった。だから、そんなことない、会員さんはずっと待っててくれてるから……と、私の目はウルウル胸はキリキリ。
私は頑張っているのに、夫がそんな辛いことを言うなんて……、やめてよ！
でも、でも今日は……。
今日の東京の最高気温は10℃。明日は雪か雨の予報だし、お日さまが出ているうちにと、夫を南極探検隊のような格好で寒さから守って散歩。
♪勝ってくるぞと板橋区（笑）……や、♪銀翼つらねて……などと、二人して（私は半分くらいしか知らない。念のため）軍歌を歌いながら気持ちをアップさせていた。