内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

涙？笑？

2017.5.13 Sat

私をじっと見つめていた夫に、「ぼくのせいで、○○ちゃん（面倒くさい！　由美ちゃんです）もすっかりバアチャンになってしまった」と言われたことは、以前のブログで告げ口をした。
その時は「自分だってジイチャンのくせに」って、笑ってしまったけれど、今度は泣けてしまうことを言われた。
脳梗塞という病気は脳細胞のある部分が傷ついてしまうらしい。彼の場合は今の自分がこれからどうなっていくのか、ちゃんと復帰できるのだろうかと不安でたまらなくさせているようだ。
夫が不安がったとき私は、「大丈夫、ちゃんと復帰できるし、最後まで私が守ってあげるから。私が先に死ぬようなことはしないから安心して……」と言っている。
私の言葉で安心したようだが、逆に私が無理をして『生きて』いるのではないかと心配になったらしい。
「ぼくのことは気にしなくていいから、無理をしないでぼくより先に死んでもいいんだよ。でもその時ぼくは泣くかもしれない。由美ちゃんの額に涙を落とすかもしれない……」って。
なんという夫婦愛！　泣けちゃう！
私を泣かせた後に「ぼくが額に落とした涙を、拭いちゃだめだよ」って、どこまでが本気でどこまでが冗談だ。線を引いてくれッ！
でも！　現実、私は彼を置いて先に死ぬわけにはいかない。


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