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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

タラの芽

2021.5.30 Sun

緑が濃くなって、我が家の南はるか遠くに見えていた八ヶ岳連峰が見えなくなった。八ヶ岳連峰どころか、オーバーに言うとお隣さんがいらしてるのかどうかさえ分からないくらいだ(都府県をまたいでの外出自粛のせいか、ゴールデンウイークのあいだも、お隣は来てなかった。木の間隠れの窓灯りなんていうのも素敵なんだけど)。
今年は芽吹きが遅くて、木が枯れてしまったのかと心配していたけど、芽吹き始めたらもう緑の洪水だ……ってのはちょっとオーバーだけど。
庭の木の種類はだいたい頭に入っている。しかし自然界はすごいのだ。庭の東側に、知らない間に知らない木が生えていて、いつの間にか成長していた。よく見るとタラの木で、芽が三つもある。このタラの芽の天ぷらは、夫の大好物だった。
あの頃キャリーとの散歩の途中でタラの芽を見つけると、三つ四つ採ってきて夕食の天ぷらにしていた。私には油を分解吸収する酵素がなく、油物はからだが受け付けない。それで私の目の前で、揚げたばかりの天ぷらに薄塩をかけ、うれしそうに食べている夫を思いだして胸キュン。
今はもう揚げたての天ぷらを食べる人もいないし、一人用の天ぷら鍋は女性シングル編集者にあげてしまったしで、庭のタラの芽は摘まずに葉っぱを楽しむことにした。
そうそう思い出した。以前、我が家の庭の西側にタラの芽を見つけて、明日が摘み頃だと翌日庭に出ると……、なかった。誰か散歩の途中に摘んで行ったに違いない。私も同じ事をしていたのだけど、食べ頃を知っている人が近くにいたんだなァ!と、胸ほっこり胸キュン。
時は戻らずいつまでも寒いけど、初夏だなァ!

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