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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

記憶の中の殺人

2022.10.10 Mon

講談社文庫『記憶の中の殺人』を読み終えた。
小説現代で連載中や単行本で、そして文庫になって読んだときは、わりと軽い作品だと思っていた。しかしいま読み返してみると決して軽くはなかった。
どんな作品でも、その行間には著者の性格や人生感や社会への思いが流れているそうだ。この作品も作者の『思い』が色濃く流れていた。
食事をしながらテレビのニュースを見ながら、私たちが交わしていた会話があちこちに散らばっている。
普段の私たち夫婦の会話はブラックジョークが多いことは、親しい人たちにはお馴染みだけど、二人だけのときはわりと真面目なこともある。私が浮わついたことを言って、たしなめられたこともあった。
とくに355ページからの光彦の気持ちに、あの頃のことを思い出していた。
際どい話をジョークと聞き流したり、ジョークのふりして本音でしゃべっていたあの頃を思い出してキュン。私たち、やっぱり真面目なんだ。
そして338ページの『桃太郎侍』には笑ってしまった。
以前に読み返した作品にも『桃太郎侍』が出ていた。あの頃私は知らなかったけれど、夫がこの番組を毎週見ていたんだとおかしい。
いまBS日テレの18時から再放送をしていて、私も遅まきながらハマっている。そしてお決まりの「許さん!」から始まって「一つ!人の……」と言う決まり文句を桃太郎侍と一緒に口にしている。アホか!
しかし……、この作品でもセンセはチャランポランのお調子者に書かれているけれど、本物はシャイでかなり真面目人間です。口が悪いのはテレ隠しなのです。

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