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内田康夫 夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

17才

2019.3.24 Sun

昨日、第17回「北区 内田康夫ミステリー文学賞」の授賞式に行ってきた。
去年の授賞式は3月17日で、前日の16日に夫を見送ったばかりの私は、楽屋に受賞者を訪ねて、「おめでとうございます」のご挨拶だけで、表彰式には出席しないで帰っていた。
そして表彰式が終わった段階で夫が13日に亡くなり、夫との約束通り近親者だけで見送ったことを発表したのだった。
せっかくのお祝いの席だ。夫の亡くなったことを公表したら、暗く湿っぽい式になってしまう。それでは受賞者にも来場者にも関係者にも……申し訳ない。それで出版社の方々にも、全てを隠していた。
知っていながら普通に式を進行させていた事務局のスタッフは、さぞかし辛い思いをしていたことだろう。
そして1年後の今回、舞台スクリーンに映しだされている夫の含み笑いは、ちょっと辛かった。
受賞者の発表。それぞれの受賞作を私はまだ読んでないが、何と奨励賞は17才の高校生だった。
17才と聞いて「第17回の17才かァ」と、偶然だけれどジョーク好きの夫の計らいかも……と、私は勝手にこじつけていた。
真面目そうでスピーチもしっかりとしている。そして最近の制服はブレザーが多い中で、詰め襟姿が爽やかだ。
私の近くにこの年齢の若者はいない。マスコミで取り上げる変な高校生の姿がすり込まれていた私は、彼の姿に感激した。
「これからの日本、捨てたもんじゃないかも」と。
私が17才だったころ何をしていただろうと、過去を振り返ってみた。何も思いだせなかった。受験勉強をした覚えもないし、遊んでいた覚えもない。ただボーッと生きていた?
いや! 文芸部に入れ込んでいて、隣りのクラスの男子に注意されたっけ。
チコちゃん風に言うと「受験前に、部活なんかに入れこんでるんじゃねェよ!」
彼、今ごろどうしているだろう。ある国立大学の教授になったと噂では聞いたけれど……と、17才の受賞者から甘酸っぱい思い出にボーッとしてしまった。
断っておくけど、彼から好きだと告白されたりしてないし、私だってただの同期生としか思ってないし……。
大賞と区長賞の受賞者は60代。人生100才の時代。この受賞をきっかけに作家デビューして、70~80代の直木賞なんて、カッコよくない?
おめでとうございます。

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