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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

不親切

2016.8.26 Fri

夫が車椅子を使うようになって、東京都心の道路事情に関心を持つようになった。その結果、自由に歩くことができない人に対して、何と優しくない道路なのだろうと思った。優しくないどころか、不愉快さを感じる。
斜めになった歩道に電柱があったり、段々があったり……。車椅子を押す人がいても危険きわまりないのだから、自分一人での移動を拒否しているとしか思えない。
広い通りは通りで横断歩道橋や横断歩道トンネルはあっても、横断歩道が少ない。信号のたびに車を止めていては、道路は大渋滞を引き起こす。だから歩行者は階段の上がり下りなど、多少の不自由は我慢して下さいということだ。
多少の我慢はいいのだけど、歩行が困難な人に限りない我慢をさせている?
道路の向こう側にある目的地に行くためには、この先どこにあるのか分からない横断歩道まで行って、また戻らなければならない。車椅子は、階段の上がり下りはできないのだ。
夫が車椅子を使うようになるまで、私は歩行が困難な人の気持ちで外出したことはなかった。
痛みは、ぶたれてみて初めて分かる……ってことかな?
4年後に開催される東京オリンピック&パラリンピック。外国から歩行の困難なお客さまだっていらっしゃることだろう。オリンピックの膨れあがる予算の中に、その対策費は含まれているのだろうか。
どこだったかの主要街道の横断歩道橋のたもとに、エレベーターがあるのを見たことがある。
あんなのがあちらこちらにあれば……と、車椅子を押しながら考えた。
あれま! たまには私だって真面目なことを書くのだってことに、自分に照れている。

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