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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

浅見光彦の家にて

2019.8.6 Tue

『浅見光彦の家』(*)でイベントがあった。最後にここに入ったのはいつだろう。
夫が健在の時は、ここで「光彦句会」だの「ウイークエンドセミナー」だの「ピザパーティー」だの、当時の浅見光彦倶楽部の会員さんとの、楽しい事がたくさん催されたものだ。
夫の闘病生活が始まってからは、芽衣に行くたびに前を通過するだけになってしまった。
久しぶりの『浅見光彦の家』でのイベントは「「浅見光彦 友の会」交流会~持ち寄りパーティー」で、21人の友の会の会員さんがそれぞれ地元の銘菓を持っていそいそと集合していた。そして皆さんは室内を懐かしそうにキョロキョロしながら思い出話に花が咲いている。またここで集まりたいそうだ。
夫も出窓で懐かしそうに微笑んでいた(多分!)。
私が夫は闘病中に、「長いこと会わないでいると、会員さんがぼくのことを忘れてしまう……」と、涙ぐんでいたことを告げると、「そんなことはない」とうっすら涙ぐんでいる人もいた。
各地のお菓子をポリポリ、ビンゴでキャーキャー、作品クイズでワーワー。
お開きになって、一人、「先生はぼくのことを忘れないでと言ったそうだけど、私には、ぼくのことはどうか忘れて!と言ったかもしれませんね」と。それで「ホント! そうかもしれない」と大笑い。
こんなに距離の近い作家と読者って、いいなぁ。


(*)事務局注 「浅見光彦の家」は内田康夫が浅見光彦倶楽部(「浅見光彦 友の会」の前身)の会員の方々のために作った会員限定宿泊施設で、2015年まで営業しました。

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