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内田康夫 夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

自然に還る

2019.10.4 Fri

私たちが軽井沢に移住したころ、町の人口は1万5000人に満たなかった。今は2万人を越えたそうだ。どうりでスケスケだった私の通勤路(?)の両側は、普通の住宅街のようになってきた。
私の家は森の中にある。家を建てるときは木を倒すのは最小限にするような決まりがあり、ティーサロン「軽井沢の芽衣」を建てるときは細心の注意を払い、「浅見光彦の家」(*)を建てるときは、樹木の種類から位置まで行政の指示通りにした。おかげで20年が過ぎた「芽衣」は、いまでは木々に抱かれているような、いい雰囲気だ。
しかし最近の軽井沢は「樹木の中の街」から「街の中の森」に変身しつつあるような気がする(私の気のせいかも? でも、人間が増えるということは、そういうことかもしれない)。
「自然」というものは、人間がいてはいけないのかな? なんて、最近の我が家の庭を見ていて思う。
私たちは、もともとズボラな夫婦だった。だから自然といえば自然。雑草が手に負えなくなったら業者に頼む程度で、ほとんど自然に任せていた。
それが夫の介護の生活にかまけ、ここ5年近く自然のなすがままでいたら、ほんとうに庭は自然に還りつつあった。
先日のブログで書いたように屋根に木が生え、ベランダのタイルの継ぎ目から草が生えている。プランターからケヤキの芽が出て1メートルにも成長していた。
そういえば「軽井沢の芽衣」に移植した、我が家の庭で芽を出したモミジやシラカバがもうすっかりお婆さんになっているし、夫が利尻島から連れてきたエゾマツ(?)が、すっかり青年に成長している、ン? 私が移植したのがお婆さんで、夫のが青年? でもそんな感じ。
別荘を建てようとして木を切り倒して、ここ何年か放ってある近くの土地にも幼木が伸び始めている。自然に還ろうとしている。
やはり地球上で一番悪い生き物は人間なんだなアと、しみじみ感じた。せめて自然が自然に還るためにはズボラが一番ということに決めた。


*「浅見光彦の家」は会員専用宿泊施設として、2007〜15年に営業しました。

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