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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

赤い鳥小鳥

2020.10.5 Mon

テラスのすぐ側の木に、ブドウのような実がなっている。実は1センチ×6ミリにも満たない小さなものだけど、その何粒かが真っ赤に熟していた。
鳥たちは実をどこで見ているのか、熟れた実を順番についばんで行く。何日か前も鳥が来て赤い実を食べていった。お腹がいっぱいになって残していった実が熟したのだろうか。今にも枝から落ちそうだ。
やって来る鳥のからだは濃い灰色をしていた。
♪赤い鳥小鳥なぜなぜ赤い……♪ という歌がある。
その鳥は赤い実を食べたのに、赤くなれなかったのかァ!と思った。
しかしこの森の木々の実は、熟れる前は緑色をしているし、青い実や白い実は見たことがない。
だからだろうか、私の住む森には赤い鳥はおろか、青い鳥も白い鳥もいない。そう思いながら、いつの間にか♪赤い鳥小鳥、なぜなぜ赤い……♪ と歌っていた。
可愛い歌だ。北原白秋も成田為三も立派な大人なのに、どうしたらこんな可愛い歌を創れるのだろう。
NHKの『みんなのうた』という番組があって、数々のヒット曲を世に送り出している。私は『山口さんちのツトム君』や『北風小僧の寒太郎』が好きだった。
最近の歌は詞が話し言葉に近いし、曲もリズムが優先しているようで、トシ取った私は今ひとつピンとこない。
私が口ずさむ歌は、相変わらず七五調の一文字一音符の、まァ言ってみれば正当派ってところかな?
夫を介護中、車椅子を押しながら歌っていたのも『正当派』の穏やかなものばかりだった。車椅子を押しながらラップを歌ったら、たぶん車椅子はひっくり返っていたことだろう。
ん? 赤い鳥とラップとどういう繋がり?

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2020.10.1 Thu ささやき