内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
ショック
2017.6.2 Fri
ショック! ……でもないけど、でも、少しショック。
私は最近、バスをよく利用する(これは運動不足解消のためと、人間ウオッチングのためでもある)。ふと気がつくと、年長さんたちがバスに乗る時にカードをチラッと見せている。どうも都民か区民かの、ある年齢以上の人の無料パスらしい。私は長野県民だからなァと羨みながら、毎回「ピッ!」とスイカで支払い、時にはご高齢の方には席を譲っている。でも内心では「もしかしたらこの人は、私より若いかも」と思わないでもない。それに「私はちゃんとバス代を払っているけど、この人はタダじゃん!」と思ったりして……。
それが今日は地下鉄で席を譲られてしまった。若い男女で、女性は小柄で可愛い顔をしていた。私がつり革につかまって立っていると(これも運動不足解消)何となく女性と目が合ってしまった。すると女性はニコッと笑って「どうぞ!」
私、物欲しそうな顔をしていたのだろうか。複雑だったが、断るほど私は意地悪ではない。ありがたく座らせていただいた。この場合はあきらかに私の方が年長(女性は20代に見えたから、それはあたりまえだ)だけど。
私、若い・若いと煽てに乗っていたかもしれない。やはり年齢相応に見えるのかもしれない。
以前にも席を譲られてショックだったけれど、そうよね、私、後期高齢だもん! と、やはり現実を思い知らされて少しショック。
私も若い頃は(現在も)電車でよく席を譲った。あの時、譲られた方は、今の私のようにショックを受けていたのだろうか。
でも「席を譲れよ!」と言いたげな年長さんが前に立ったときは、気がつかないふりをしたこともあったなァ。