内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
昔の童謡から
2017.6.14 Wed
BSテレビのチャンネルをカチャカチャしていたら、文部省唱歌や昔の童謡を放送しているところだった。お茶を飲もうと思っていたのだが、懐かしくてお茶を我慢して見てしまった。ついでにテレビの前で、独りで歌っていた。
年寄りじみているかもしれないけれど(実際、年寄りだ)、昔の歌は詩が美しいと思った。ほとんどが定型詩で、したがってメロディーが自然だし歌いやすい。
現代の歌は話し言葉の詩が多く、時には歌手の滑舌が悪いのか、一つの言葉に無理に曲をつけたせいなのか、何を言っているのか解らなかったりする。
今日放送の童謡は7曲だったが、私は全部知っていて一緒になって歌ってしまった。最近の私は、夫との散歩で歌ってはいたが(それも植木等や軍歌)、長いこと大声で歌ってなかったせいか、高音が出なくなっているのにビックリした。
中学生のとき、NHKの合唱コンクールに出たりしていたのに……。
歌いながら意味を知らないまま覚えていた言葉がたくさんあった。それで古語辞典で意味を調べてみた。
古語辞典……、何と! 私は『夫婦短歌』を始めるようになってから、古語辞典を買ったのだ。
国語の授業は高校時代までだったし、古文や短歌だって高校の授業で習っただけだったから、間違ってヘンな言葉を使ってはいけないと慌てたのだった。
古語辞典の帯には『全国の高校生が使っているロングセラー辞書』と書かれていた。
全国の高校生……って、私は知らなかったなァ。私は授業中、夢ばかりみていたから、それで知らなかったのかも。
知らないままで覚えていた歌詞の意味を、遅ればせながら初めて知った。
無人島に流されるときに、一冊だけ本を持って行ってもいいと言われたら『広辞苑』を持って行け。そうすれば一生退屈をしないと、むかし言われた。
やはり辞書は偉いのだった。