内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
続ローラなんたらかんたら
2017.10.5 Thu
あの後、ローラなんたらかんたらのイギリス続きで、しばらく思い出に浸っていた。
夫と『孤道』が終わったら、のんびりとしようと言っていたことなどetc'
2人だけの時間をのんびり過ごそうとたてていた計画の一つに、ロンドン郊外で家を借りてのロングステイというのもあった。
イギリスネイティブの姪っこに物件を探してもらって現地まで送り届けてもらい(私たち夫婦は、飛行機のチケットの買い方、搭乗の仕方もわからない)、生活の方法を教えてもらって、その後は夫婦水入らずで2~3ヶ月ほど生活を楽しみ、また姪っこに迎えにきてもらう……という計画だった。
市場で買い物をして料理をしてご近所さんと付き合ううちに、英語もなんとか話せるようになるだろうと思っていた。イギリスは車も左側通行だから楽だし。
その計画に編集者たちが飛びついた。担当者たちが交代で陣中見舞いに来るのだそうだ。それでベッドルームを一部屋増やしておいて下さいって!
それじゃのんびり息抜きにならないじゃないだの、買い物やご近所さんとの付き合いは夫には無理だろうから、買い物に付き合いますだなんて、何だか楽しくなりそうな計画だ。
多分、私は現地にすぐ溶け込むだろうけど、夫はシャイだから私の後ろから付いて歩くだけかもねェなんて言っているうちに、夫は倒れた。
ロンドン郊外でのロングステイどころか、国内のドライブものんびりライフもなくなった。
そうなったら……ではなく、思い立ったが吉日で実行していればよかったねと、夫としみじみ。
私の愚痴混じりの思い出話に、鬱々は衰えたけれど今度は『しんみり』だった。