内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
野草
2018.5.1 Tue
庭に出るのは……、そう! 4年ぶりだ。
4年ぶりにしては落ち葉枯れ葉の類は片付けられている。たくさんの人がいろいろと私たちを守ってくれていると、人の心の温かさにしんみり。
4年前にはなかった野草があちこちに生えているのには、びっくりした。
鳥たちが運んできたのに違いない。人も鳥たちもなんとやさしいのだと感謝していたら、小鳥の声がかしましい。
「そうよ!そうよ! 寂しがるアンタのために運んでおいたのよ」と(たぶん)。
でもこのかしましさは、スーパーマーケット『ツルヤ』で、他人の迷惑も考えずに通路でおしゃべりしている主婦たちやガキども(ごめん! 下品でした)よりずっといい……と思ったら、鳥たちが「あんなのと比べるな!」とさえずっていた(たぶん!)。
野草かァ!
以前、夫が「ボクだって康夫だよ!」と言っていたことを思い出した。
ちょっとムリがあるかもしれないけれど『ヤスォー』ってことらしい。ちょっとどころか、かなりムリっぽい。
『夜想曲』だの『野草』だの、まだ他に『康夫』に変換できるかな?
久しぶりに庭の手入れをしたら、手がガビガビになってしまった。荒れた手を見ていたら、『風と共に去りぬ』のスカーレットを思い出してしまった。
今夜、手入れをしよう。