内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
明日香の皇子……II
2018.6.10 Sun
2時間毎に目が覚めていた状態から、やっと4~5時間も続けて眠れるようになったのに、就寝前の読書タイムに、『明日香の皇子』を選んだのが失敗だったかもしれない。
第二章まで読んで、『内田康夫』が凄い作家だということが分かったことは、先日書いた。
3日目の昨夜、読了した。のめり込んで読んで「この作家は凄い!」と興奮してしまったせいか、誘眠剤を飲んだにもかかわらず、寝付くまでに3時間もかかってしまった。
それなのに目覚めはいつも通りだなんて、寝不足で転んで骨折したらどうする。
こんなことを書いて、「自分の夫をそんなに褒めるものではない」と叱られるかもしれないけど、凄いことには違いないから。以前夫がエッセイで私のことを褒めて書いたとき、「自分の妻を褒めるものではない」と投書があった。だから私にも投書があるかも……。
この作品を書いた時の日本の為政者も国民性も、今も全く変わってないことにびっくりした。
いやこれが日本の不変の国民性なのかもしれない。
やはり『内田康夫』は凄いと思った。ただの作家ではないと思った。
今ごろびっくりしただなんて(いえ、以前から夫の才能には敬意を払っていたけど)、この作品を読んだとき、私はちゃんと内容を把握していたのだろうかと、????だ。
作品の内容に触れるわけにはいかないけれど、私たちが自然の移ろいの美しい軽井沢に恋をして移住したのは、私の意識下で私自身の『まほろば』を求めていたのだろうか。
でもそのまほろばは今、壊れつつある。だんだんと都会化しつつある。
先日軽井沢に帰ったとき、我が家の近くのお宅の前の木が、たくさん切り倒されていた。私たちが家を建てたころ、なるべく元の本数に近い本数の木を植えて下さいと言われていたと思っていたのに。
経済的な豊かさをとるか、精神的な豊かさをとるか。森の中の町にするか、町の中の森にするか……。難しい問題だけど、それはそこに住む人たちの意識にかかっているのだと思う。
為政者を選ぶのも、その国、その地域、その町に住む人たちだから。
私が何を言いたいのか、『明日香の皇子』を読んで感じて下さい。