内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
今、何処に?
2019.4.7 Sun
毎日のように夫を身近に感じ、コンタクトを取り合っていた(つもり)のに、このところ夫の存在が薄い。身近にいないような気が時々するし、もしかしたらとうとう川を渡ってしまったか……。私たちは無宗教だと言っているのに、川を渡っただなんて、それはちょっと違うか? ま、いいや、一年経って『あちら』で友だちができたのかな?とちょっと寂しかった。
ところが夫は榎木孝明さんのところに行っていたのだった。
榎木さんからメールが届いた。夫の夢を見たのだとか。
目黒あたりの榎木さん所有の、部屋数がたくさんある大きな家を自由に使っていいと、夫に貸してあるのだそうだ(※注。家のことはもちろん夢ですよ。探しに行っても、そんな家はありません。お間違えのないように)。
そして榎木さんが小さなバイクに乗って夫に会いにいく途中で、目が覚めてしまったのだけど、「夢に出てきてくれて、うれしかった」そうだ。
なんだ! 夫は榎木さんの家に行っていたのかァ!
榎木さんを小さなバイクにしか乗せなかったり、わがままを言って困らせるようなことをしたら追い返して下さいと返事をしておいた。
しかし最近は『あちら』にも慣れてきたのだろうか。事務局のスタッフと電車に乗ったり(夫は電車にはあまり乗らないけど、スタッフの夢だから)、榎木さんのところに行ったりと自由にしているようだ。
でも居場所だけは教えてくれないと、困るのだけど。いや! 『こちら』にいた時と同じかも。テレビを見ているとばかり思っていたら、いつのまにか姿を消している。
知らないあいだに碁会所に行ったりしていたけれど、『こちら』にいた時のように自分のペースで生活できるようになったのかな?
それはそれでうれしいけれど、やっぱり寂しい。