内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
陸上競技
2019.7.21 Sun
運動会では華やかだったけれど、一般的には地味な競技だった陸上競技。それがこのところの特に短距離走がかなり騒がれている。
何年か前に高校生だった桐生選手の記録、そしてオリンピックの4×100リレーで銀メダルをとったことで一気に盛り上がり、先日の福岡県の競技場では今までにない入場者数だったらしい。
サニブラウン、桐生そして小池選手の決勝はすごかった。私は息をつめて見ていて、危なく窒息死をするところだった……って、物の例えです(説明しないとそれをストレートに信じてクレームがつくから)。
しかし如何せん、昔より長くなったとはいえ、日本人は欧米人に比べて足が短い。柔道やレスリングなどは体重別にしているのだから、特に短距離走やハードル競技を股下長さ別にしてくれたら、日本のメダル数は飛躍的に伸びると思うのだけど……。
私は運動会で徒競走がいやでたまらなかった。自分が走る番が近づくにつれトイレに行きたくなるし、身長別に走らされていつも6人中3位か4位。
5年生のとき、兄に「走るときグウでなく指をチョキにして走ると速くはしれるよ」とアドバイスされた。やはり4位で、翌年はチョキでなく人差し指一本にして走ってみた。3位だった。
それっきりそのことを忘れていたのだが、ふと選手の走りを注意してみたら、ほとんどの選手がパァだった。
今度はパァで走ってみようと思ったけれど、パァだろうと一本指だろうと、このトシで100メートルも走ったら確実に死んじゃうわと諦めた。