内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
チコちゃんに褒められる?
2019.11.5 Tue
『チコちゃんに叱られる』を見た。
昨夜の放送の「サンマはなぜ内蔵を食べるのか」と言うような問題の答えは知っていたし、竜宮城の乙姫さまが、浦島太郎にお土産にあげた玉手箱とは何か……は、何となく「……だろう」くらいに思っていた。正解ではなかったけれど、箱の中身については、ややピンポ~ンだった。
1年半前に夫は逝ってしまった。あと何年かしたら私も逝く。夫は逝く前に「来世も結婚しようね」と言っていた。でも私が逝った時、私の方が年上になっていたらどうしようと、それがちょっと悩みだった。
そうでなくても私は彼にイライラしていたし(だって彼の書斎は、過去の作品の資料で、足の踏み場もないほど散らかっていたんだもの)、それが私の方が年上だったら支配者になっていたかも(もうなっていたか?)。
でも昨夜の『チコちゃん……』を見て、悩みは薄らいだ。
あちらの世界の1年は、こちらの世界の100年だそうだ。だったら、私があと何年であちらに逝くかはわからないけれど、例えば5年だとしても、夫との年齢差はそんなには違わない。これで安心して長生きできるぞ!
『チコちゃん……』という番組は、新しく知識が増えるだけではなく、心を安らかにさせる番組でもあるのだと思った。
生前の母が、私の精神年齢の低さを嘆いていたことがあった。私が30才を過ぎていたころにも「バカなことばかり空想していて、この子は社会でちゃんとやっているのかしら?」と(ちゃんとしてるって。人さまの前ではまとも……でもないか?)。
でも大丈夫!、私のバカさは、自分は頭がいいと思っている人には優越感を与えられるし、悩み多い人には笑いを与えることができる。
そして自分に自信を持てない人には「自分だって捨てたもんじゃない」と思わせる役に立つ。
夫? 彼は「バーカ!」と、ただ面白がっていたみたい……と言うより、案外似たもの同士だったかも。