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内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。

胸キュン!

2019.11.18 Mon

ちょっとした風にもハラハラと木の葉が散って、木漏れ日が落ち葉と仲良しのつもりなのか、一緒になって散ってくる。穏やかな穏やかな午後。
ガラス越しに差し込む日差しに目を細めて、穏やかな穏やかな午後。
気が付くと ♪こんな小春日和の穏やかな日は……♪ と、口づさんでいる私がいる。
限りなく冬に近い晩秋の穏やかな午後って、都会では味わえない風情だ。この穏やかさって、ささやかでもいい、庭があって、縁側でのんびりと……だもんな。
『秋桜』の歌で、涙もろくなった母がアルバムを開いている場所は、絶対!縁側以外にはあり得ない。億ションのリビングでは絵にならない。
いま軽井沢はカラマツが黄金色の雨を降らせて、朝の森の道はゴールドの新雪ってところ。一人と一匹の足跡を遺しながら、キャリーと歩いたころを思いだして胸キュン。
田舎に住んでいて高校を卒るまでは、毎年こんな晩秋の風情を味わっていたのだなと、ちょっと胸キュン。
玄関前に積もった落ち葉を掻きながら、「少しは手伝ってよ!」と頬を膨らませていたことを思いだして胸キュン。
秋って、物思う季節なんだなァ!と、初冠雪の浅間山を見上げて胸キュン。
春になったら生命の芽吹きを見て胸キュンになるのだけど、夏に胸キュンになるって……、ないかも。
あっ!あった。若い娘のむき出しの二の腕を見た後に、振り袖状の我が二の腕に胸キュン……って、これは胸ズキン!だなァ。

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2019.11.23 Sat ファンタジー

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