内田康夫夫人であり、作家・エッセイストでもある早坂真紀の随想を不定期でお届け致します。
新人類
2019.12.8 Sun
♪村の渡しの船頭さんは、今年60のお爺さん♪という童謡がある。
60でお爺さんだなんて、イヤだなァ!と思ったが、孫がいれば50才だって立派なお爺さんやお婆さんには違いない。
平安時代の平均寿命は多分30才くらいで、江戸時代あたりから昭和20年代あたりまでの平均寿命は『人生50年』くらいだったらしい。
それからすると60才って、相当な長生きだ。
それが今や、平均寿命は80~90才。それからすると、60才なんて若い!若い!
寿命が延びた分、認知症や老人性鬱などのいろいろな問題が発生してしまった。
私は今年、運転免許証の更新をした。実技試験の前に後期高齢者を対象とした、認知度を調べるテストも受けた。おかげさまで「ほう! 凄いですねェ!」とまずまずの結果で、実技もS字カーブで縁石に乗り上げることもなかった。
一時停止のところでは、仮免の試験の時のように、心の中で「1,2,3」ときちんと3秒数えて、無事免許証更新。あと3年、安全運転を心掛けよう。
知人と後期高齢者の試験が話題になったとき、大体60才以上の人間は『新人類』と言われているのだという話になった。
以前も新人類と言われる若者たちがいた。それは常識から離れた行動を取ったり、大人からは信じられないような行動を平気で取る若者を総称した呼び名だった。
でもいまは、その非常識が当たり前になって、彼らは「新人類」ではなくなった。そしてそれに代わった「新人類」が現れた。
いま歴史的にみて、信じられない長寿時代になった。100才現役だなんて声も聞く。
100才でも一人で自分の世話が出来るのならいいけど、現実はそうはいかない。地球が誕生して初めての長寿時代に、結果、医学や社会制度が現実に追いつかなくなってしまった。
未だかって経験したことのない高齢者社会。その高齢者たちのことを「新人類」と称ぶようになった……らしいのだ。
そう言えば私の子どものころは、認知症だの老人性の鬱だなんて、あまり聞いたことなかった。そんな病気になる前に、寿命は尽きていたせいかもしれない。
いつの間にか私は「新人類」の仲間入りをしてしまった。
残念!